「ちいさいおうち」は、私が小さい時に、最も印象に残ったお話で
す。
「お話」と言ったのは、私が持っていた絵本は、この岩波書店の絵
本ではなく、ディズニーのアニメ版の絵本だったからです。
このお話がディズニーのアニメになっているというのを知る人も今
では少ないのでは?と思いますが、私も実際のアニメは観たことが
ありません。
でも、お話は原作の絵本とほぼ同じで、
のどかな田舎に建ったちいさいおうちが、最初は都会に憧れていた
んだけれど、だんだん周りが都会に変わっていって、ついにはビル
に埋もれるようになってしまったけれど、最後はおうちごと、かつ
ての田舎のような土地に移されてめでたしめでたし…
おうちが主人公というのが、ちょっとびっくりな設定ですが、顔の
ようになった「ちいさいおうち」が健気でかわいらしくて、ちいさ
いおうちの気持ちにとても共感できる、というか、
幼心に「都会よりのどかなところのほうがいいな~」とか、思って
いました。
今でも、ビルの隙間に建つ古い建物や、国道沿いの畑付き古民家を
見かけると、
「ちいさいおうちみたいだなぁ…」
と、思ってしまいます。
そして何より、絵本を読み終わった後、
「よかったなぁ」
と安心できる。
そんな絵本です。