松永禎郎さんは、私の最も敬愛する画家のひとりです。
松永さんの絵は、雑誌 月刊「詩とメルヘン」では毎月掲載されていて、いつも「こんな絵が描けたら…」と尊敬と憧れを抱いていました。
心の中に染み込むような詩情が、松永さんの作品にはいつも宿っていました。
松永さんは絵本も多数手がけられていて、その中で、戦争をテーマにした作品が幾つかあります。
今回、ご紹介したいのは「すみれ島」(偕成社)と「むらさき花だいこん」(新日本出版社)
戦時中、毎日のように特攻隊の飛行機が通っていく小学校の子どもたちが兵隊さんたちに贈った、すみれの花束。
いつしか、特攻隊の通った海の島にはいちめんのすみれが咲き、人びとはその島を「すみれ島」と呼ぶようになりました。
中国大陸で負傷した日本兵が、少女からもらった、むらさき色の花だいこんの花。その種を日本に持ち帰った彼は、種をまき、いつしか花だいこんは平和を願う花になりました。
いずれも、戦争をテーマとしていますが、「すみれの花」「花だいこんの花」を通して、戦争の哀しさや愚かさを静かに伝える絵本です。
そして、松永禎郎さんの静かで美しい、染み入るような絵が、もう、途中で涙なくしては読めません。(読み聞かせは要注意です)
本当は、もっともっと評価されて良い画家だと思います。
そして、もっとたくさんの方々に、松永さんの作品を見ていただきたいと願って止みません。
松永さんの絵本は、これからも幾つかご紹介したいと思っています。
「すみれ島」今西佑行・文 松永禎郎・絵 偕成社 1991年
「むらさき花だいこん」大門高子・文 松永禎郎・絵 新日本出版社 1990年
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