奥付を見ると、この絵本が日本で発刊されたのは、1965年。
今もなお、子どもたちに人気のこの絵本ですが、何だかとっても不思議というか、
おかしいのです。
おじいさんが森を歩いていて、てぶくろを片方落として行ってしまいます。
(おじいさんの姿は描かれていません)
すると、それをみつけたねずみが、
「ここにくらすことにするわ」
と、てぶくろにもぐりこみます。
そのあと、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ…
と、てぶくろの住民は増えていきます。
その間に、てぶくろはどんどんふくらんで、
はしごがついたり、扉や窓がついたり…
そして、とうとう、おおきなくまが、てぶくろに入りますが…
…入れたのでしょうか?
もう、きつねあたりから、
「ぜったい無理!入れるわけない!」
と、ツッコミを入れたくなるのですが、不思議と、絵にも文章にも
破綻がないように感じるのです。
そして、てぶくろのおうちが、とてもあたたかそうで、子供の頃に
自分で傘や布や椅子を組み合わせて、ちいさな家のようなものを
作って、楽しんでいたことを思い出したりしました。
子どもたちはきっと、そういった、「てぶくろのおうち」の
あたたかさや、快適さを夢想して楽しむにちがいない、
それが、子供たちが、今なおこの絵本を好きな理由なのかも?
と、思うのです。
「てぶくろ」ウクライナ民話 エフゲニー・M・ラチョフ/え うちだりさこ/やく 福音館書店 1965年刊