「なぜ絵本が好きなのか?」
と聞かれると、ちょっと困ってしまうのは、
絵が好きで、物語が好きなら、自ずと絵本は好きでしょう?
と思ってしまうからだと思います。
“絵本的”なものに憧れを抱いてしまうのは、絵を描く人間なら皆
多かれ少なかれあるのでは?と。
私が一番小さい時の記憶でよくおぼえているのは、
安野光雅さんの『ふしぎなえ』
今も当時の絵本がそのまま本棚にあります。
この本は、ある意味とてもアーティスティックな絵本で、独特の緻
密な絵柄で、いわゆるだまし絵の世界が全ぺージ文章無しで繰り広
げられていて、私はもう何度でも、飽きずに眺めていました。
どういう絵かというと、こびとたちがいる空間が床だと思ったら
天井になったり、いつのまにか、壁になったり…
とても不思議で、絶対あり得ない世界なのに、絵として全く破綻が
無く、本当に今でも見入ってしまいます。
当然、この絵本はいわゆる“読み聞かせ”に適した絵本とは言えな
いのですが、ひとりで絵本の世界に入り込むことができる優れた作
品だからこそ、現在も増刷され、書店に並び続けているのでしょう。
この絵本が、安野光雅さんの最初の絵本(当時40歳)だというの
が驚きです。
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