絵本

松永禎郎さんの絵本1(すみれ島・むらさき花だいこん)

 

松永禎郎さんは、私の最も敬愛する画家のひとりです。

松永さんの絵は、雑誌 月刊「詩とメルヘン」では毎月掲載されていて、いつも「こんな絵が描けたら…」と尊敬と憧れを抱いていました。

心の中に染み込むような詩情が、松永さんの作品にはいつも宿っていました。

 

松永さんは絵本も多数手がけられていて、その中で、戦争をテーマにした作品が幾つかあります。

 

今回、ご紹介したいのは「すみれ島」(偕成社)と「むらさき花だいこん」(新日本出版社)

 

すみれ島 (新編・絵本平和のために)

戦時中、毎日のように特攻隊の飛行機が通っていく小学校の子どもたちが兵隊さんたちに贈った、すみれの花束。

いつしか、特攻隊の通った海の島にはいちめんのすみれが咲き、人びとはその島を「すみれ島」と呼ぶようになりました。

 

むらさき花だいこん

中国大陸で負傷した日本兵が、少女からもらった、むらさき色の花だいこんの花。その種を日本に持ち帰った彼は、種をまき、いつしか花だいこんは平和を願う花になりました。

 

 

いずれも、戦争をテーマとしていますが、「すみれの花」「花だいこんの花」を通して、戦争の哀しさや愚かさを静かに伝える絵本です。

そして、松永禎郎さんの静かで美しい、染み入るような絵が、もう、途中で涙なくしては読めません。(読み聞かせは要注意です)

 

本当は、もっともっと評価されて良い画家だと思います。

そして、もっとたくさんの方々に、松永さんの作品を見ていただきたいと願って止みません。

 

松永さんの絵本は、これからも幾つかご紹介したいと思っています。

 

 

「すみれ島」今西佑行・文 松永禎郎・絵 偕成社 1991年

「むらさき花だいこん」大門高子・文 松永禎郎・絵 新日本出版社 1990年

 

松永禎郎さんの絵本2(かさじぞう・しろふくろうのまんと)

りすのはなし(ブライアン・ワイルドスミス)

この絵本は、私が小学校の図書室で初めて借りた絵本です。

つまり、生まれて初めて自分で選んだ絵本と言えます。

 

 

なんといっても、この表紙の絵の美しさ。

野生のりすのくらしを描いているのですが、りすたちの(かわいいだけだはない)愛らしさや、背景の色使い、表現が、まるで『宝石箱』のような絵本です。

 

それほどまでに、きれいだと思った絵本を、自分の家の本棚に収められたのは、つい最近のこと。

この絵本を書店で見かけたことが無く、心の片隅にはあったものの…

だったのですが、先日、たまたま近所の図書館で見かけ、早速借りてみたところ、やっぱり、

「綺麗だな~」

と、思い、どうしても欲しくなり…

 

けれど、検索してみても、出版元の、らくだ出版がもう無いのか、それすらもよく分からないのですが、情報がほとんど無く、どうやら“絶版”状態らしいということが…。

 

そこで、やむなく古書を購入いたしました。

家にやってきたのは、1976年発行の第2刷。

表紙カバーはかなり汚れていましたが、中は状態も良く、変わらぬ美しさでした。

 

私は、表紙の絵と、この雪の中のりすの絵が特に好きです。

 

りすのはなし2P

 

ブライアン・ワイルドスミスは、たくさんの絵本を出版している絵本作家ですが、らくだ出版から出版されているものは、どれも現在は古書でしか手に入らないようです。

こんなにきれいな絵本が絶版なのは、本当に残念ですので、またいつか、どこかの出版社から再販させることを願って止みません。

 

 

りすのはなし ブライアン・ワイルドスミス作・絵 らくだ出版 1974年

 

 

 

 

よるのおと(たむらしげる)

虫の鳴く音

カエルの鳴き声

水の音

フクロウの声

汽車の音

 

「よるのおと」を感じて、

よるの気配や、世界を体感する絵本です。

 

よるのおと

 

夜、ひとり、おじいちゃんの家に向かう少年が

体験する、ほんのひとときの「夜」のなかに、

全てがあるような、

満ち足りた何かがあるような。

 

この絵本の元になったのは、松尾芭蕉の有名な句、

 

「古池や 蛙飛び込む 水の音」

 

 

この絵本は、美しい青を表現するために、通常の印刷で用いられるCMYK

(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)ではなく、パープル、サファイヤ

ブルー、イエロー、ブラックの特色印刷だそうです。

また、版の作成も、たむらしげるさんが自ら行われていて、

水彩のようなニュアンスは、墨で水彩紙に描いた絵をパソコンに取り込んで組

み合わせているのだそう。

(雑誌「Illustration」 2018年12月号参照)

 

 

特色印刷の手法は、ユリー・シュルヴィッツの絵本「よあけ」やディック・ブ

ルーナの「ミッフィー」(うさこちゃん)にも用いられています。

 

特に、「よあけ」は絵本としても、とてもこの「よるのおと」と

感覚的に近い感じがします。

 

「読み聞かせ」る絵本ではなく、自分でしみじみと感じる絵本。

私は、そんな絵本の楽しみ方、向き合い方が好きです。

 

 

「よるのおと」たむらしげる 偕成社 2017年

 

こちらの絵本もおすすめ

「よあけ」ユリー・シュルヴィッツ 偕成社

 

 

 

絵本「よあけ」

「よあけ」ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二 訳

は、とても静かで美しい絵本です。

よあけ (世界傑作絵本シリーズ)

おともなく、

しずまりかえって、

さむく しめっている。

みずうみの きのしたに

おじいさんとまごが もうふでねている。

 

そして、しずかにしずかに、よがあけていくのを、

読者は絵本で体感するのです。

 

キャンプが苦手な私でも、ちょっと

この、みずうみで、

よがあけるのを体験したいと思わせてくれます。

 

かえるのとびこむおと。 ひとつ、またひとつ。

とりがなく。どこかでなきかわす。

おじいさんが まごをおこす。

みずをくんで

すこし ひをたく。

もうふをまいて

ボートを おしだす。

みずうみに こぎだす。

 

この絵本は「よあけ」が主役で、

「よあけ」を体感する読者が主役で、

一般的な絵本のプロセスとは違っている気がするけれど、

多くの絵本作家が、好きな絵本、理想の絵本として挙げています。

 

作者のユリー・シュルヴィッツは1935年ポーランド生まれ。

「よあけ」のモチーフは、唐の詩人柳宗元の詩『漁翁』によるそうです。

 

「漁翁」柳宗元

漁翁 夜 西巖に傍いて宿し

暁に淸湘に汲みて 楚竹を然く

煙銷え日出でて 人を見ず

欸乃一聲 山水綠なり

天際を迴看して 中流を下れば

巖上無心に 雲相逐う

 

〈意解〉

年老いた漁師が、夜になると、西岸の大きな岩に舟を寄せて停泊した。

明け方に彼は清らかな湘江に水をくみ、楚の竹を燃やして朝食を作る。

やがてもやが晴れ太陽が昇ると、もはや漁翁の姿は見あたらない。

舟をこぐかけ声がひと声高くひびいて、山も水もあたりはすべて

緑一色に染まっている。

空の果てを遠くふり返りつつ、川の中ほどを下って行くと、

雲が大岩の上空に、無心に追いかけあっているように流れていた。

(公益社団法人 関西吟詩文化協会HP より引用)

 

絵本は、この詩のとおりに展開していきます。

詩とちがっているのは、「まご」が一緒にいるというところですが、

これは、絵本を読む子供たちに親しみを感じさせる工夫かと思います。

 

ちなみに、この絵本は、通常の印刷で使用される4色(シアン・マゼンダ・イエロー・ブラック)ではなく、この絵本のためのインクを使用した、『特色刷り』だそうです。

最後ページの夜明けの瞬間の絵は、本当に色が美しいです。

 

絵本をつくる人は、

「こんな絵本をつくりたい」

と、夢見るような絵本です。

 

 

「よあけ」ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二 訳 福音館書店  1977年

 

 

 

 

 

 

 

 

おおきな ものの すきな おうさま(安野光雅)

おおきな ものの すきな おうさまは、何でも かんでも 大きなもので

生活をしていらっしゃいます。

おおきなもののすきなおうさま (講談社の創作絵本)

屋根よりもたかいベッドで目覚め、

プールのような せんめんきで かおを洗い、

庭のような広いタオルで顔をふき…

 

百年かかっても食べきれないほど おおきなチョコレートを

毎日お食べになった、おうさまは、案の定、虫歯になり、

おおきな おおきなくぎぬきで、やっとのことで歯を抜きます。

 

もう、とっても不便そうです。

そして、国じゅうの人たちを振り回しているおうさまです。

おバカで かわいらしい おうさまですが、きっと国は平和なのでしょう。

(おおきな おおきな チョコレートは かなり魅力的です)

 

そんなおうさまが、おおきな おおきな植木鉢を作らせました。

 

そのうえきばちに、たった一輪、咲いたちゅーりっぷは…

 

そのちゅーりっぷを見て驚く、おうさまと、

おおきなうえきばちの まんなかに咲くちゅーりっぷが、

とてもなぜだかとてもかわいくて、

私は好きな結末です。

 

安野光雅さんの、やはり緻密な絵が、

「大きなものって大変」

という、説得力があり、安野さんがあとがきで、書かれている、

エジプトの王は、ピラミッドという巨大な墓をつくらせたが、大きな花を咲かせることだけはできなかった。

生命を人間がつくることはできない。

花一つ、虫一つが、かけがえのないものであることを思わねばならぬ。

 

という言葉にとても共感します。

人間の、愚かだけれど可愛らしい感じを描きたかったということが、

伝わってくる絵本です。

 

 

「おおきな ものの すきな おうさま」安野光雅 作・絵 講談社 1976年

 

安野光雅さんの他の作品

「ふしぎなえ」

 

 

 

 

「くうき」まど・みちお 詩 ささめやゆき 絵

まど・みちおさんの「くうき」という詩は、私の大好きな詩のひとつです。

これは、その詩を元に ささめやゆき さんが絵を描かれた絵本です。

くうき 絵本画像

くうき (まど・みちおの絵本)

 

ぼくの 胸の なかに

いま はいって きたのは

いままで ママの 胸の なかに いた くうき

―中略―

きのう 庭の アリの 胸の なかに いた くうきが

いま 妹の 胸の 中に はいっていく

くうきは びっくりぎょうてん しているか?

なんの おなじ くうきが つい このあいだは

南氷洋の

クジラの 胸の なかに いたのだ

 

つづきは、ぜひ、絵本で読んでいただきたいです。

本当に、心が清々しくなる、すてきな詩です。

 

けれど、なかなか絵にするのは難しそうな、この詩を

ささめやゆきさんが、大胆に表現されていて、

また、それが いいな~と思うのです。

 

個人的には、子どもたちへの読み聞かせにも適しているのでは?

と思います。

 

ちなみに、私もこの詩をイラストで描いたことがあります。

それがこちら↓

「くうき」 いしいまゆみ イラスト

 

…いかがでしょう?

 

まど・みちおさんの詩は、童謡でおなじみの「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」などが有名ですが、それ以外の詩もとても素晴らしい詩がたくさんで、読むだけで、心が明るくなりますので、おすすめです。

まど・みちお 詩の本

まど・みちお詩の本―まどさん100歳100詩集
 

 

「くうき」まど・みちお 詩 ささめやゆき 絵 理論社 2011年

 

 

 

 

 

 

せかいでいちばんつよい国

「せかいでいちばんつよい国」

「つよい国」ってなんだろう?

せかいでいちばんつよい国

 

むかし、大きな国が ありました。
大きな国の 人びとは、じぶんたちの くらしほど すてきなものはないと、かたく しんじていました。
この国の へいたいは、たいへん つよくて、たいほうも もっています。
そこで 大きな国の だいとうりょうは、いろんな国へ、せんそうを しにいきました。
「せかいじゅうの 人びとを しあわせにするためだ。われわれが せかいじゅうを せいふくすれば、みんなが われわれと おなじように くらせるのだからな。」

 

こうして、ほかの国は、つぎつぎと征服されていき、たったひとつ、小さな国だけがのこりました。
大きな国は、最後に残った小さな国に攻め入りますが、小さな国は兵隊もおらず、小さな国の人びとは、大きな国の兵隊たちをお客のように手厚くあつかいます。

兵隊たちは、この国の歌や遊び、料理を楽しみ、人びとのしごとを手伝ってすごします。

その様子を見ただいとうりょうは、

「けしからん」

と、兵隊を入れ替えますが、新しく来た兵隊たちも、まったくおなじことになりました。

そして、国にかえった、だいとうりょうは、自分の国の人びとが、みんな、

あの、ちいさな国の料理を食べ、遊びをし、服を着ているのを目にします。

「まあ、いいさ、どれも これも、せんそうで ぶんどってきた ものだからな」

そういった、だいとうりょうが、むすこにせがまれて、歌った歌は、ひとつのこらず、あの小さな国の歌でした。

 

征服されたのは、本当に小さな国の方だったのでしょうか?

それとも?

 

大きな力に対する、別の戦い方。

それをこの絵本は、子どもにも、大人にも分かりやすく説いてくれているのではないでしょうか?

 

「せかいでいちばんつよい国」デビット・マッキ―作 なかがわちひろ訳 光村教育図書 2005年

 

 

「おおきな おおきな たけのこ」(いのししの絵本)

いのししどし(亥年)なので、いのししの絵本を…
というわけで、懐かしの2005年に京都新聞トマト倶楽部から発刊された絵本

「おおきな おおきな たけのこ」さく・え いしいまゆみ

をご紹介いたします。

おおきなおおきなたけのこ表紙

そうです。

お恥ずかしながら、現時点では私が創作した、唯一出版された絵本です。

ちなみに発行された年は亥年ではありませんでした。

 

この絵本が出来た経緯としましては、

当時、通っていた京都の絵本教室で、京都新聞社が新聞購読者向けに販売する絵本の作者をオーデションするという企画があり、「京都が舞台の昔話」6冊と、「京都が舞台の創作絵本」6冊の計12冊を1か月に1冊ずつ発行するということで、私は創作部門を狙って、このお話のラフを持って行ったところ、幸運にも選ばれた…ということでした。

おはなしは、京都の竹やぶが舞台(初めは“乙訓”(京都のたけのこの名産地)と地名をはっきり出していましたが、そこは編集さんに修正され、

“おいしい たけのこが たくさんとれる 京都の 竹林”

と、なりました。

おおきなおおきなたけのこ1P

“あるひのこと、いのししの いの吉さんが たけのこほりに やってくると おおきな おおきな とてつもなく おおきな たけのこが はえていました。”

このお話の主人公が、いのししの いの吉さん。

私が今まで描いた絵本の主人公の中で、一番キャラが立っているのは、この“いの吉”さんだと確信しています。

料理好きで、DIYが得意。

編集を担当してくださった方曰く、

「いの吉さんは38歳 独身」

のイメージと仰られていました(笑)

さて、そのいの吉さん、見つけたたけのこをさっそく…

おおきなおおきなたけのこ2P

くりぬいたのです!

そして、料理して、みんなにふるまった後、たけのこの中で眠ってしまうのですが、翌朝なんと…

おおきなおおきなたけのこ3P

こんなことになっていました。

そして、成長した竹の中で、いの吉さんはなんと…

おおきなおおきなたけのこ4P

たけのこ料理&宿屋を営みはじめるのでした。

いの吉さんは、本物のいのししみたいにいかつくなくて、チョコチョコまめに動くかわいいやつです。

ちなみに、この絵本には朗読CDが付いていまして、朗読者はなんと谷口キヨコ(キヨピー)さんでした。

 

ある意味、かなりレアなこの絵本。
いわゆる“書籍”扱いではなく、発行した分を売り切るタイプの絵本でしたので、現在では、おそらく京都新聞社の方に問い合わせていただいてもも手に入らないと思いますが、私の方に少しだけ在庫が残っていまして、たまにイベントなどで販売しております。

 

 

 

 

三びきのやぎのがらがらどん(ノルウェーの昔話)

この絵本の画家マーシャ・ブラウンは、多数の絵本を手掛けていますが、
一作一作、そのお話に合わせた画風を使い分けています。

この「三びきのやぎのがらがらどん」は中でも、もっとも人気のある絵本
ではないかと思います。

三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)

むかし、三びきのやぎがいました。なまえは、どれも がらがらどん と
いいました。
あるとき、やまのくさばでふとろうと、やまへのぼっていきました。

その途中、たにがわの橋のしたに、トロルがまちかまえ、がらがらどんたち
を食べようとするのですが、ちいさいのと、二番目のがらがらどんは、

「すこしまてば、もっとおおきいのがやってくる」

と、のがれます。

そして、ついに一番大きいやぎのがらがらどんがやってきます。

おおきいがらがらどん!

強そう!かっこいい!

そして、トロルをこっぱみじんに(!)

三びきはぶじやまへのぼって、ふとりました。

…と、なかなか衝撃的な結末ですが、
子どもたちへの人気は確かなようで、
知り合いの息子さんもとてもお気に入りだそうです。

私は、この絵本は、とても「強い」と感じます。

子供の中の「強さ」「残酷さ」
を解放する力があるように思うのです。

私も含めて、一般的な大人は、きれいな、わかりやすい絵本を好んで
しまいがちですが(それはそれで肯定したいですが)
子どもたちの感性に訴えるものに目を向けないといけないと、時々、
反省(笑)するのです。

 

「三びきのやぎのがらがらどん」ノルウェーの昔話 マーシャ・ブラウン/え せたていじ/やく 福音館書店 1965年刊

てぶくろ(ウクライナ民話)

奥付を見ると、この絵本が日本で発刊されたのは、1965年。
今もなお、子どもたちに人気のこの絵本ですが、何だかとっても不思議というか、
おかしいのです。

てぶくろ (世界傑作絵本シリーズ)

おじいさんが森を歩いていて、てぶくろを片方落として行ってしまいます。
(おじいさんの姿は描かれていません)
すると、それをみつけたねずみが、
「ここにくらすことにするわ」
と、てぶくろにもぐりこみます。

そのあと、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ…

と、てぶくろの住民は増えていきます。

 

その間に、てぶくろはどんどんふくらんで、
はしごがついたり、扉や窓がついたり…

そして、とうとう、おおきなくまが、てぶくろに入りますが…

…入れたのでしょうか?

 

もう、きつねあたりから、
「ぜったい無理!入れるわけない!」

と、ツッコミを入れたくなるのですが、不思議と、絵にも文章にも
破綻がないように感じるのです。

そして、てぶくろのおうちが、とてもあたたかそうで、子供の頃に
自分で傘や布や椅子を組み合わせて、ちいさな家のようなものを
作って、楽しんでいたことを思い出したりしました。

子どもたちはきっと、そういった、「てぶくろのおうち」の
あたたかさや、快適さを夢想して楽しむにちがいない、

それが、子供たちが、今なおこの絵本を好きな理由なのかも?

と、思うのです。

 

「てぶくろ」ウクライナ民話 エフゲニー・M・ラチョフ/え うちだりさこ/やく 福音館書店 1965年刊