2019年 5月 の投稿一覧

絵本「ごんぎつね」と「手ぶくろを買いに」

私が長年、敬愛する黒井健先生の絵による、新美南吉氏の名作絵本をご紹介します。

黒井健先生は、私が幼い頃から読んでいた雑誌「詩とメルヘン」と「いちごえほん」でイラストを描かれていて、色鉛筆をぼかす手法で描かれる風景などが、どれもとても美しく、ずっと憧れの存在でした。

 

その後、京都で開講されていた絵本の創作を学ぶ教室で、実際に『先生』と『生徒』という関係になり、いろいろな事を教えていただきました。(私の絵を見ていただければ、技法は全然違いますが、黒井先生の影響がとても大きいことはお気づきになられると思います)

 

「ごんぎつね」と「手ぶくろを買いに」は姉妹のような絵本です。

どちらも、きつねが主人公で、絵本の体裁も同じです。

「ごんぎつね」は秋、「手ぶくろを買いに」は冬(雪)の描写がとても美しくて、眺めているだけで、うっとりとします。

 

ごんぎつね (日本の童話名作選)

子ぎつねの「ごん」は、いたずらで、兵十が漁ったうなぎを川に放してしまいます。その事をとても後悔した「ごん」は、兵十に栗やまつたけを届けたり、つぐないをしようとしますが…

国語の教科書にも掲載されている「ごんぎつね」は、とても悲しい結末なので、物語としては「手ぶくろを買いに」の方が私は好きです。

 

 

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

おてての冷たい子ぎつねのために、手ぶくろを買ってやりたいお母さんぎつねでしたが、人間がどうしても怖くて、足がすくんでしまい、しかたなく子ぎつねをひとりで街に行かせることにしますが…

坊やが無事戻ってきて、坊やから話をきいたお母さんぎつねの言葉。

「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら。」

というのは、作者自身の問いでしょうか。

 

 

 

「ごんぎつね」〈日本の童話名作選〉新美南吉・作 黒井健・絵 偕成社 1986年

「手ぶくろを買いに」〈日本の童話名作選〉新美南吉・作 黒井健・絵 偕成社 1988年

曇り空(曇天)を描く

ここでは、アクリルガッシュによる、曇り空の描き方を説明していきます。

 

曇り空は描いてみたら、意外と描きやすいです。

使用する絵具はほぼ、この5色。

曇り空絵具の色

左から、ホワイト、コバルトブルー(ヒュー)、ウルトラマリン、ミキシングバイオレット、藍鼠(あいねず)。

これに、隠し味として、レモンイエローとローズピンクを加えますが、無くても十分です。

 

 

両面にジェッソを塗ったイラストボードに描いていきます。

イラストボード

 

 

ちなみに、私は筆は使わず、このような、ステンシル用のスポンジで色をのせています。


 

 

 

まず、雲の色の中で、中間くらいの暗さの色を置いていきます。

ホワイト+藍鼠(あいねず)+コバルトブルー+バイオレットを混ぜて色を作ります。

曇り空制作過程1

 

 

次に、雲の色の中で、一番濃い色を載せます。

曇り空制作過程2

使用絵具は、藍鼠(あいねず)+コバルトブルー+バイオレット(暗さの度合いによってはホワイトで明るくします)

 

 

今度は一番明るい部分に絵具を置きます。

(①で混色して作った絵具にさらにホワイトをたくさん混ぜて、明るい雲の色を作ります。)

曇り空制作過程3

 

 

 

再び、濃い色の部分を置いて、メリハリを付けます。

曇り空制作過程4

 

 

 

 

 ①で使用した中間色で全体を馴染ませ、一番明るい部分にホワイトをのせます。

このとき、ホワイトのまわりに、レモンイエローとローズピンクをほんの少しだけ(分かるか分からないか…という程度に)のせると、よりリアルになります。

曇り空制作過程5

これで、完成です。

 

曇り空を描く機会はあまりないかもしれませんが、いざ、描こうとすると(特にアクリルガッジュで)あまり参考になるものが無いかも…?と思い、解説を作ってみました。

 

パステルなどでも、応用できるかと思いますが、透明水彩やカラーインクなどでは、また違ってくるかも知れません。

 

 

参考記事

春の空を描く