よるのおと(たむらしげる)

虫の鳴く音

カエルの鳴き声

水の音

フクロウの声

汽車の音

 

「よるのおと」を感じて、

よるの気配や、世界を体感する絵本です。

 

よるのおと

 

夜、ひとり、おじいちゃんの家に向かう少年が

体験する、ほんのひとときの「夜」のなかに、

全てがあるような、

満ち足りた何かがあるような。

 

この絵本の元になったのは、松尾芭蕉の有名な句、

 

「古池や 蛙飛び込む 水の音」

 

 

この絵本は、美しい青を表現するために、通常の印刷で用いられるCMYK

(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)ではなく、パープル、サファイヤ

ブルー、イエロー、ブラックの特色印刷だそうです。

また、版の作成も、たむらしげるさんが自ら行われていて、

水彩のようなニュアンスは、墨で水彩紙に描いた絵をパソコンに取り込んで組

み合わせているのだそう。

(雑誌「Illustration」 2018年12月号参照)

 

 

特色印刷の手法は、ユリー・シュルヴィッツの絵本「よあけ」やディック・ブ

ルーナの「ミッフィー」(うさこちゃん)にも用いられています。

 

特に、「よあけ」は絵本としても、とてもこの「よるのおと」と

感覚的に近い感じがします。

 

「読み聞かせ」る絵本ではなく、自分でしみじみと感じる絵本。

私は、そんな絵本の楽しみ方、向き合い方が好きです。

 

 

「よるのおと」たむらしげる 偕成社 2017年

 

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「よあけ」ユリー・シュルヴィッツ 偕成社