せかいでいちばんつよい国

「せかいでいちばんつよい国」

「つよい国」ってなんだろう?

せかいでいちばんつよい国

 

むかし、大きな国が ありました。
大きな国の 人びとは、じぶんたちの くらしほど すてきなものはないと、かたく しんじていました。
この国の へいたいは、たいへん つよくて、たいほうも もっています。
そこで 大きな国の だいとうりょうは、いろんな国へ、せんそうを しにいきました。
「せかいじゅうの 人びとを しあわせにするためだ。われわれが せかいじゅうを せいふくすれば、みんなが われわれと おなじように くらせるのだからな。」

 

こうして、ほかの国は、つぎつぎと征服されていき、たったひとつ、小さな国だけがのこりました。
大きな国は、最後に残った小さな国に攻め入りますが、小さな国は兵隊もおらず、小さな国の人びとは、大きな国の兵隊たちをお客のように手厚くあつかいます。

兵隊たちは、この国の歌や遊び、料理を楽しみ、人びとのしごとを手伝ってすごします。

その様子を見ただいとうりょうは、

「けしからん」

と、兵隊を入れ替えますが、新しく来た兵隊たちも、まったくおなじことになりました。

そして、国にかえった、だいとうりょうは、自分の国の人びとが、みんな、

あの、ちいさな国の料理を食べ、遊びをし、服を着ているのを目にします。

「まあ、いいさ、どれも これも、せんそうで ぶんどってきた ものだからな」

そういった、だいとうりょうが、むすこにせがまれて、歌った歌は、ひとつのこらず、あの小さな国の歌でした。

 

征服されたのは、本当に小さな国の方だったのでしょうか?

それとも?

 

大きな力に対する、別の戦い方。

それをこの絵本は、子どもにも、大人にも分かりやすく説いてくれているのではないでしょうか?

 

「せかいでいちばんつよい国」デビット・マッキ―作 なかがわちひろ訳 光村教育図書 2005年