この物語との出会いは、絵本ではなく、映画でした。
幼い私が、恐らく人生で初めてつれていってもらった初めての映画が、
この「チリンのすず」と「親子ねずみの不思議な旅」の2本立て
アニメーションでした。
親にとってはどうやら「親子ねずみ」の方が印象にあったらしいの
ですが、私はこちらのお話は全く覚えていなくて、「チリン」の方
がとても心に残った…というか、衝撃を受けたお話でした。
おおかみのウォーにお母さんを殺されたこひつじのチリンは、お母
さんの敵を討つため、ウォーに近づき、弟子にしてもらいます。
いつしか、ウォーよりも強くなったチリンはとうとう、ウォーを倒
しますが、すでにチリンの姿は羊ではなく、ウォーがとても大切な
存在になっていたと気付きます。
相手を憎むことや、敵を討つ虚しさが、幼心にずっしりと、残りま
したが、不思議に嫌な感じはしなかった記憶があります。
このお話の原作が、「アンパンマン」で有名なやなせたかし先生の
絵本であると知ったのは、それから20年以上経ってからの事でし
た。
その頃には、すでにやなせ先生が編集長を務める「詩とメルヘン」
にイラストを投稿するようになっていて、勝手に運命を感じたりし
ていました。
「アンパンマン」はもちろん、子どもたちの最高のヒーローですが、
やなせたかし先生は、他にも名作絵本をたくさん残されています。
決してハッピーエンドではないけれど、心の中に深く刻まれるもの
がある。
そんな絵本です。
ちなみにアニメーションもDVDになっているようです。↓
チリンの鈴・ちいさなジャンボ・バラの花とジョー【やなせ・たかし原作】 [DVD]